トマス・モアは、著書『ユートピア』の中で、「金は、それ自体では何の役にもたたないのに、世界中のあちこちで尊重されている。そもそも人間が用いるためにつくられ、人間が尊重するからこそ価値が生じるものなのに、いまではその人間よりももっと価値があるとされているというのである。」と言っています。
トマス・モアは、15~16世紀に活躍した人です。金の価値は、今から500年以上前となんら変わらないことがよくわかります。スペインのピサロは、金のためにインカ帝国を滅ぼしてしまいます。マルコ・ポーロは、黄金を求めてジパング(日本)までやってきます。
そのような人間の行動が、世界を動かし、歴史を変えることにつながっています。
本当に、金というのは、その金色に輝く魅力によって、人間の営みに様々な影響を与えてきました。そんな金の魅力に、現代の視点で私なりにせまってみようと思います。
1.金との出会い
『金』と漢字で書くとお金なのか純金なのか、わからなくて迷うことがよくあります。
英語だとお金はmoney、純金はgoldと表記するので、迷うことはありません。私は、金(gold)には特別の思いがあるせいか、純金とかゴールドなどの表現を使いたくありません。やはり『金(きん)』と言いたいのですが、文章にするとどうしても『金』という表現を使わなければなりません。そうすると、お金と間違われる可能性が高くなるので困ります。その点、『銀』というのは、銀=シルバーでしかないので、納まりがいいようです。
人類の歴史が始まって以来、『金(きん)』は貨幣の代用や宝飾品として長く使われてきたこともあって、『銀』や他の貴金属と違い、我々人間と特別な関係を築いてきました。純金のあの黄金色のまばゆいばかりの輝きを見ていると、女性ならずとも『金(きん)』の虜になってしまいます。
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